Shell Cotage






「ビル、フラー!助けて!」

ドビーの姿くらましが成功したことにいち早く気がついたロンは気を失ったままのハーマイオニーを抱えて貝殻の家へ走った。

「ロン!?大丈夫か!?」
末弟の声に慌ててビルとフラーが扉を開けた。

「僕じゃない、ハーマイオニーが…」
ロンの腕の中のハーマイオニーを見ると、ビルは急いで部屋に招き入れ、フラーは薬瓶を取りに行った。

「ビル、海辺にハリーたちがいる!」
分かった、とだけ言うとビルは海辺へ駆けていった。


以前自分が使っていたベッドにハーマイオニーを横たわらせ、ロンはベッドサイドの椅子に座った。

「ロン、これを飲ませて」
フラーに手渡された薬を少しずつ、ハーマイオニーの口に流し込む。

ハーマイオニーの瞼が僅かに動いた。

「他の子もかなり弱ってるからもう行くわ。そばにいてあげて」
ぽんぽんとロンの肩を叩いてフラーは部屋を出て行った。



「いやあああああああ!」
突然ハーマイオニーが悲鳴をあげた。

先ほどの拷問のショックがフラッシュバックしたのだろう。

「ハーマイオニー、もう大丈夫だよ」
刺激を与えないよう、ロンは優しくそう言った。

「それは偽物なの!やめて!」
しかし、ハーマイオニーの悲鳴は止まらなかった。

「ハーマイオニー」
どうしていいか分からず、ロンは冷え切ったハーマイオニーの手を握りしめた。

その感触に気がついたのか、ハーマイオニーがゆっくりと目を開く。

「…ロン?」
まだぼんやりとした表情だった。

「ハーマイオニー、無事でよかった」
ロンはそっと、ハーマイオニーを抱き締め、ハーマイオニーもその安心感に浸る。



そのとき、ロンは気がついた。
昨年の毒酒事件で生死をさまよったときに感じた暖かさの正体に。


ずっと離さないでいてくれたそれは、ハーマイオニーの手。



「君はすごいよ。拷問されてるのにあんな話を作るなんて」
ハーマイオニーは弱々しく微笑んだ。

「そうね…あなたなのよね、ずっと名前を呼んでくれていたのは」
ロンはハーマイオニーの言葉にたじろいだ。

半狂乱で叫んでいた言葉がハーマイオニーに聞こえていたとは。


「随分励まされたわ」
恥ずかしくなって顔を伏せたロンにハーマイオニーが掠めるようなキスをした。

「ありがとう」
結局また自分が励まされていることに気がついたロンは苦笑いを浮かべつつもハーマイオニーの髪を撫でた。


このあと、かけがえのない友人の死を知らされるまで。
2人は寄り添っていた。


--End