Whatever






ホグワーツの在校生たちは大理石の白い墓をただ呆然と見つめることしかできなかった。

偉大な魔法使いの死、それは魔法界が闇に包まれるであろうことは生徒たちの意識の底に渦巻いていく。


葬儀が終わり、丘には少数の参列者だけが残された。


なおも泣き続けるハーマイオニーをロンはゆっくりと抱きしめた。

ハーマイオニーはロンの広い胸に身を預けて嗚咽を漏らした。



「いったい、どうしたらいいの?」

闇の陣営を食い止めることのできた唯一の人物の死は、何をもたらすのか。

選ばれし者は、何と戦うのか。

そして自分たちに希望溢れる未来はやって来るのか。


「僕たちが立ち向かわないと。ヴォルデモートに」
掠れた声にハーマイオニーははっとして顔を上げた。

「ロン、あなた、今…」
ロンがはっきりとヴォルデモートの名を発したのは初めてのことだった。

何しろ、マグルのもとで幼少期を過ごしたハリーやハーマイオニーとは違い、彼の全盛期と謳われた時代に伝統あるウィーズリー家に生まれたロンはその恐怖を叩き込まれて育ったからだ。


「あのときに、約束したじゃないか」
5年生の神秘部の戦いのあと、親友の壮絶な運命を知ってしまったロンとハーマイオニーは最後までハリーとともに進むことを約束した。

「もちろん、私だって行くわよ」
すっかり涙の乾いたハーマイオニーは力を込めてそう言った。


「それに、あなたと離れ離れで死ぬのがいちばん怖いって、あのとき嫌になるほど分かったの」
ロンが意識を失ったとき、ハーマイオニーはラベンダーと付き合い出したロンと口を利かなかったことを心から後悔したのだ。

もし、仲直りできないまま離れるというのは、死ぬことよりも恐ろしいことだと。


「行きましょう、ハリーのところへ」

湖畔をゆっくりと歩くハリーの姿をとらえると、2人は手を取り合って駆け出した。


「僕たち行くよ、ハリー」
その言葉に、夕日に照らされたハリーの顔が崩れるように歪む。

「だめだ」
ハリーは首を振った。
親友たちをこの危険極まりないたびに巻き込むわけには行かないのだ。

「あなたは前に一度こう言ったわ」
「私たちがそうしたいなら、引き返す時間はあるって。その時間は十分にあったわ、そうでしょう?」
ハーマイオニーは静かに、しかしきっぱりとそう言い切った。
ハリーの緑色の瞳は揺らめいた。

「何があろうと、僕たちは君と一緒だ」
ロンの空のように青い瞳に吸い込まれ、ハリーは微笑んだ。
それにつられて、ロンとハーマイオニーも微笑みを返す。

6年間親しんだブナの木のもとで、3人はしっかりと互いに頷き合った。


--End